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2024.02.01

やる気を科学する

お子様から「やる気が出ない」と言われたら、

「そもそもやる気というものは自然に沸いて出てくるものではない。」と返すことにしましょう。

 

 東大薬学部の教授で脳科学が専門の池谷裕二氏は、「やる気」についての興味深い持論を述べています。これを要約し、勉強にあてはめてみました。

 

 

 脳は飽きっぽくできているので、多くの人は「三日坊主」に悩みます。

その解決策は「脳をだますこと」です。ポイントの一つは「やる気」や「気合」といった勉強のための大切なパワーを生み出す「淡蒼球(たんそうきゅう)」という脳の部位です。

淡蒼球は自分の意思で動かすことはできませんが、「4つのスイッチ」を使えば、起動させることができます。

 


スイッチ1…身体

 

身体が脳の主導権を握っています(逆だと思われがちですが)。進化の過程においても脳より身体の方が先に発達しました(身体のない動物はいませんが、脳のない動物はたくさんいます)。

身体を動かすことによって脳が活性化します。「やる気が出たから勉強する」のではなく「勉強するからやる気が出る」のです。

 

 

スイッチ2…経験

 

日常生活の体験は「海馬」という部位を通じて貴重な記憶や知恵として脳に貯えられます。

ここは「脳の最高幹部」といわれます。

脳を企業にたとえると、最も重要な指令を下すのが社長である「海馬」です。

いつもと同じ行動ではわざわざ働くことはありません。

しかし、初めて経験する事態には、淡蒼球などを総動員して対応します。

海馬を働かせるには、いつもと違う勉強(やり方や量)を意識的にすることが効果的です。

 

 

スイッチ3…報酬

 

ごほうびの喜びは「テグメンタ」という部位を活性化させ、快楽物質のドーパミンを出します。

 

このドーパミンが淡蒼球に直接働きかけるので、ごほうびとやる気とは強い相関があります。

物やお金も報酬になりますが、何よりのごほうびは「達成感」でしょう。

そう考えると、勉強面で小さな目標を設定することにも意義が出てきます。

 

 

スイッチ4…Ideomotor(観念連動性)

 

Ideomotorとは「念ずれば通ず」、つまり強く念じることで無意識のうちに身体が動くということです。

成功のイメージを具体的に描き、その自分になりきることでやる気が引き出されます。

勉強面でも、志望校の合格だけでなく、検定の合格や学校成績での自己ベスト達成など、成功をイメージできるものはたくさんあります。

その都度、このスイッチを使ってみるのもいいですね。

 

 


 

TEP個別教室の講師は、日々、生徒のやる気を引き出す指導を心掛けています。

それでも万が一、お子様から「やる気が出ない」という言葉が出たら、保護者様にはこの4つのスイッチをヒントにお話をしていただければ幸いです。